カンボジア事業

救急医療支援@バッタンバン州 高松市提案JICA事業

8月に講師として渡航した岡大病院認定看護師 三橋氏から届いた報告文を4回に分けてお届けしています。

《カンボジア派遣報告》

【第二弾】

~カンボジアにおけるCPA1,2,3の医療,~

プノンペン市内の国立病院を視察した後は、バッタンバン州に移動。バッタンバン州では、CPA1のアイプノン病院、CPA2のサンパオルーン病院、CPA3のバッタンバン病院をそれぞれ視察。CPA3のバッタンバン病院は地域医療を担う中核病院である。外来の受付の前には多くの外来患者が診察待ちの列を作っている状況である。また、一般外来とは別に救急車を受け入れるER(初療室)も設けられている。視察中にも外傷患者の収容があった。救急車内から顔面外傷であろう患者が歩いて救急車から下りてきた。話を聞くとバイクと車の交通事故のバイク運転手。日本であれば高エネルギー外傷との判断となるが、固定は一切されていない。救急外来に搬入後にも、まず行うことは傷の処置。モニターはあるが、バイタルサインの測定は行わない。高エネルギー外傷であるだけに、表面からは確認できない潜在的な損傷部位の確認が課題だと感じた。次にCPA2のサンパオルーン病院は、バッタンバン中心部からも車で3時間程度離れており、重症患者が発生した場合には、直接バッタンバン中心部に搬送するには難しい立地となる。そのため、ある程度この病院で安定化を図る必要がある。しかし、資機材自体は他国の支援で整備されているが、スタッフの数が少なかったり、資機材の使用方法が分からず活用できていない物も多数見受けられた。CPA1のアイプノン病院は、最近ヘルスセンターからCPA1にカテゴリーが上がったばかりとのこと。他国支援でレントゲンが整備されたとのことで、確認してみても、個室の中にポータブルX線撮影機が置かれている。これも使用方法が分からず使用されたことは1回もないとのこと。バッタンバン州のCPA1~CPA3の医療機関の視察を終えて感じたことは、やはり地域格差である。地方の医療従事者は救急医療の知識を習得したくても教育を受ける機会がないと口を揃えて言う。また、物品・資機材に関しても、他国支援で入ってきても使用方法のレクチャーを受けることも少なく、その後のメンテナンスも行き届いておらず、「宝の持ち腐れ」になっている物も少なくない。バッタンバン州の医療の底上げのために、両側面の課題の克服が重要である。

三橋 乙矢

岡山大学病院 高度救命救急センター(ER・EICU) 

クリティカルケア認定看護師 

特定行為看護師

日本DMAT隊員

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