ンゴンベ地区民生改善事業

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1997年、ザンビア首都ルサカ市に多数存在するコンパウンド(未計画居住地/貧困地区)の1つであるンゴンベ地区で栄養失調児を持つ母親への栄養・衛生改善教室を開催したところから始まったプロジェクト。
今日では、自立運営のためのビジネス活動として、バザーの参加や日用品の販売もおこなっており、ザンビア人スタッフのみで運営できる組織になりました。
TICOのプロジェクトでは一番古いもので、現在も活動が続いています。
本プロジェクトは、ンゴンベ地区栄養改善プロジェクトとして栄養失調児を持つ母親12名を対象とした栄養改善教室から始まりました。
■3色食品群の勉強中
栄養や公衆衛生の知識、子どもが病気になったときの対処法などを教える講義クラスと、栄養価の高い料理を教える調理実習クラスから成ります。
■手回しミシンの使い方を学ぶ
しかし、いくら栄養の知識を持っていても、先立つものがなければ家庭での実践は難しいという現実に直面。母親に手に職をつけてもらいたい、お金を得られるように、ということで洋裁教室を開始しました。また、ビジネスのノウハウを学ぶクラスも始めました。
型紙の取り方、布の裁断の仕方など洋裁の基礎から始まり、
手回しミシンの使い方、ベビードレスやアフリカンドレス、
スカートなどの作り方を習います。
■開設当時のコミュニティーセンター
2000年に郵政省国際ボランティア貯金、和太鼓奏者ヒダノ修一氏、鴨島ロータリークラブなどの支援を受け、ンゴンベプロジェクトの活動拠点として、ンゴンベコミュニティーセンターが開設されました。 ジャムなどの加工食品を販売するクラスも開始されました。
スコーンやフリッターを作って販売したり、生鮮食品を仕入
れて販売したり、カーテンやベッドカバーなどのオーダーを
受けて作成販売したり、教会のバザーに出店するなどして、
様々な角度からビジネスのノウハウを学びます。
これらの授業を通じて、手に職をつけた母親たち。働きに出るようになったため、「こどもを預かる場所」がほしいとの要望が寄せられ、ナーサリースクール(保育園)を始めました。
■低学年のクラス
■中学年のクラス
子どもたちの成長とともに、ナーサリースクールはどんどんと発展し、2003年からは小学校も開設。毎年教室を増設しつづけ、現在は150名を越える生徒が学んでいます(09年8月現在)。運動会などの行事も行われています。
■人懐っこいこどもたち
■キッチン
■校長のクムエンダ先生
プロジェクトが始まって6年目の2002年。これまでは全面的にTICOがセンターの運営に関わり、資金や資材を提供していた状態でした。 しかし、少しずつ現地組織に移譲し、TICOが関わらなくてもセンターを運営していけるような体制作りが必要であると判断。その第一歩として、ザンビア人スタッフのみで構成されたプロジェクト運営委員会が発足しました。以来、運営は彼らによって自主的に行われています。
学校で徴収する授業料、食品加工・販売クラスでの売り上げ、センター敷地内のタックショップ(日用品店)からの利益、運営委員会自ら探してきたドナーからの支援などで、TICOからの資金的な援助も少なくなりました。
■校内にあるタックショップ
■センターで作成した販売用のベッドカバー
増築に増築を重ねクラスを拡大しているものの、需要には追いつかず、校長室までが1〜2歳児用教室になってしまいました。新しい校舎の建築を検討していますが、資金確保が課題です。
また昨今の経済危機はザンビアにも影響を及ぼしており、学費が払えず生徒が学校に来られなくなる事態になっています。2007年には約200名いた生徒が2009年8月現在で約150名にまで減少。同時にコミュニティスクール(地域住民が自主運営する学校)も収入が減ることで厳しい運営が強いられています。
■調理実習の様子
TICOがモンボシ地区で実施しているプライマリーヘルスケア事業。そのプロジェクトでの住民保健ボランティア・栄養改善普及員の人材養成の一環として、2009年7月、栄養改善のワークショップ(栄養学の講義、調理実習)を行いました。地元の食材に少し手を加えるだけで栄養改善できるということを理解し実践してもらう、というのが目的。
ンゴンベ・コミュニティースクールから、チョラ副校長(写真中央)が講師として活躍しました。
■ンゴンベの人たちは、月初めの土曜日に教会で開催されるバザーにかかさず出店し、学校運営に必要な資金を得ている
TICOがチペンビ地区で実施しているアグロフォレストリー事業。チペンビ地区は首都ルサカから約100キロ離れているため、この事業の参加メンバーが収穫した野菜や穀物は、地元で安価に販売される他なく、より高い値段で売れる市場の確保が課題でした。
一方、ンゴンベ・コミュニティースクールは、学校運営に必要な収益の確保に頭を悩ませていました。
そこで、ンゴンベ・コミュニティースクールがチペンビ価格よりは高く、しかしルサカ価格よりは安く野菜などを買い取り、それをまたバザーやタックショップで販売するという、双方ともに利益を得ることのできるシステム作りを始めています。